ayapoの美術館巡り

理系女子、西洋絵画を学ぶ。

焼失、破綻、荒波を越えた松方コレクション

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上野の国立西洋美術館で開催された松方コレクション

 

西洋美術館は、松方幸次郎の集めた作品を展示するために設立された美術館です。

 

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常設展で展示されている松方コレクションのみならず、

もともと松方の購入品であった作品も全国から集結しました。

 

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アンリ・マティス (1920-21年)「長椅子に座る女」 バーゼル美術館

 

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クロード・モネ (1885年)「積みわら」 大原美術館

 

松方幸次郎とは、川崎重工業(旧:川崎造船所)の初代社長さん。

松方コレクションは、松方幸次郎が1910~20年代にヨーロッパ各地で集めた美術品のコレクションです。


浮世絵や西洋絵画、彫刻など3000点近くにのぼります。

 

松方は、日本人に本物の作品を見せたいとの一心で作品蒐集に奔走していたそうです。

 

単に、お金をたくさん持っているから個人の趣味で買い集めていたわけではなく、

日本人に本物の作品を見せたいという目的があったのですね。

 

なぜ、松方は日本人に芸術を鑑賞する機会を与えたいと思ったのかが気になります

 

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ピエール=オーギュスト・ルノワール (1891年)「帽子の女」国立西洋美術館

 

第二次世界大戦の勃発により、コレクションをヨーロッパから日本に移送できなくなってしまいます。

 

1959年、ようやくそれらの一部がフランスより寄贈返還という形で日本に渡りました。

 

そこで美術館を作ることが返還の条件のひとつでもあったため、国立西洋美術館が設立されました。

 

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フィンセント・ファン・ゴッホ (1889年)「アルルの寝室」オルセー美術館

 

ゴッホやモネ、ルノワールなど、、、豪華作品が勢揃い。

松方は、モネのジヴェルニー邸へ直接買い付けに行ったこともあるのだとか。

 

日本で所有していた作品、主に浮世絵などは東京国立博物館で展示されているようです。

 

 

盛らない画家、ベラスケス

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西洋美術館で開催された、ハプスブルク展へ。

 

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ハプスブルク家といえば、マリーアントワネット様ですね。

 

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マリー・ルイーズ・エリザベト・ヴィジェ=ルブラン (1778年)「フランス王妃マリー・アントワネットの肖」

 

この時代は横文字が多くて苦手です。(高校で世界史を取っていない)

 

なので、時代背景うんぬんよりも、貴族たちを描いた宮廷画家にフォーカスしたいと思います。

 

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ディエゴ・ベラスケス (1659年)「青いドレスの王女マルガリータテレサ

 

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ディエゴ・ベラスケス (1631~32年)「スペイン王妃イサベルの肖像」

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ディエゴ・ベラスケス (1656年)「ラス・メニーナス(女官たち)」

 

これらの作品を宮廷絵画といいますが、

専属の画家つまり宮廷画家によって描かれています。

 

有名な宮廷画家といえば、スペインの画家ディエゴ・ベラスケスですね。

 

上3枚の肖像画は、全てディエゴ・ベラスケスという画家が描いた肖像画です。

 

ある日、国王フェリペ4世の肖像画を描き、

その作品が大変気に入られたためハプスブルク家専属の宮廷画家となりました。

 

画家と並行して王宮の職務も任されていたため激務だったそうです。

 

それだけ信頼された存在だったということでしょうか。

 

 

当時の画家というのは、大変地位の低いものとされていました。

 

そのため、宮廷画家という地位は名誉あること…。

 

そもそも、貴族たちはなぜ専属をつけてまで肖像画を描かせたのでしょうか。

 

 

自己満足だけのものや、政治的なプロパガンダを目的としたもの、

お見合い写真で描かれた肖像画もあります。

 

古くから宗教画は崇高なものとして崇められてきた影響もあるためか、

地位や名誉を見せつけるには肖像画が一番手取り早かったのかもしれません。

 

あえて美人やイケメンに描かせることも珍しくはなかったそう。

 

一方で、ベラスケスは正直に特徴をしっかりと描きました。

 

それは、ハプスブルク家特徴的な口元からわかります。

 

その正直に描いた肖像画から、ハプスブルク家が近親結婚を繰り返していたことが発覚しました。

 

純潔を守るためです。

 

最終的にはその血の濃さのため、時代を下るにつれ病弱な家系となり200年の歴史で幕を閉じました。

 

鑑賞した感想に戻りますが、

 

とにかく、間近で見るドレスは美しいの一言でした、語彙に欠ける。。。

 

 

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帰りにはコーヒーが飲みたくなってしまい、、、

気になっていた喫茶店に寄りました。

 

ガトーショコラがほっぺた落ちるほど美味でした。。。

 

以上。

 

 

北欧のフェルメール

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上野にある東京都美術館で開催された、「ハマスホイとデンマーク絵画」展

 

題となっているヴィルヘルム・ハマスホイ(1864-1916)は、デンマークを代表する画家です。

 

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ヴィルヘルム・ハマスホイ「寝室」(1896年)

 

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ヴィルヘルム・ハマスホイ 「カード・テーブルと鉢植えのある室内」

 

このように、室内画を多く描きました。

 

しかし、「北欧のフェルメール」と呼ばれるには、少し暗い印象を受けました。

また、人物のいない絵画も多くあります。

 

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ヨハネス・フェルメール 「牛乳を注ぐ女」

 

ハマスホイは、このような言葉を残しています。

 

「古い部屋には、たとえそこに誰もいなかったとしても、独特の美しさがある。

あるいは、まさに誰もいないときこそ、それは美しいのかもしれない」

 

壁や扉といった最低限の要素だけを残し、

 

究極のシンプルさに温かみを加えた、独自の美しさがこのような雰囲気を生んだのでしょうか。

 

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ヴィルヘルム・ハマスホイ 「きよしこの夜」

 

また、Hygge(ヒュゲ)という言葉を聞いたことがありませんか?

 

これは、デンマークの人々が大切にしている価値観。

くつろぎや温かさ、居心地の良いといった意味を持っています。

 

特に私は、この「きよしこの夜」という絵画から

家族の温かさや、居心地の良さを感じました。

 

生活を大切にする北欧の人々の考え方は、今も昔もずっと変わらないものなのだと感じました。

 

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そうだ、箱根に行こう。

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ポーラ美術館は、ずっとずっと行ってみたい憧れの美術館でした。

 

ただ、場所は箱根。

 

なかなかふらっと行ける場所ではありません、、、。

 

そんな中、モネとマティスの企画展が始まると知ったとき

 

「これは行くしかない、、、そうだ箱根に行こう!」

 

この時の私の行動力は今でもすごいなと思います。

 

一人で新宿から高速バスに乗り、4時間近くかけて憧れのポーラ美術館へ。

 

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お天気もよく◎(この時は夏だったかな、、)

 

外でバスを待つ時間などが重なり、汗だくになったのを覚えています。

 

ポーラ美術館のポーラとは、そう、あの有名化粧品会社のPOLAです。

 

あまり詳しくはないですが、ポーラ創業者さんのコレクションということで開館したようです。

 

そして、POLAの新人研修では名画鑑賞の時間があるそう……素敵ですね。

 

さすが、受付の皆様もお美しかったです。(綺麗なお姉さんに弱い)

 

はい、本題に戻ります。

 

企画展名は「モネとマティス もう一つの楽園」

 

モネとマティスにとっての楽園とは何だったのかなと、想像をしながら鑑賞しました。

 

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クロード・モネ (1878年) 『グランド・ジャット島』

 

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アンリ・マティス (1943年) 『リュート

 

モネは屋外、マティスは室内画が多いような印象です。

 

モネの屋外画といえば、誰もが思い浮かべるのは「睡蓮」ではないでしょうか。

 

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クロード・モネ (1916年) 『睡蓮』

モネの「睡蓮」という作品はいくつか存在し、日本でも西洋美術館に常設展として展示されています。

 

睡蓮は、モネの庭とも言われるジヴェルニーの庭で描かれた作品です。

 

モネが理想郷を求めて創り上げた庭です。

 

モネにとっての楽園とはまさに、ジヴェルニーの庭なのではないでしょうか。

 

一方で、私たちから見たモネの作品は、ジヴェルニーの庭で描かれたものに限らず全て楽園のように見えてきませんか?

 

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アンリ・マティス (1926年) 『オダリスク

 

アンリマティスは、このようなエキゾチックな女性像を多く描きました。

 

20世紀に入ったアフリカ美術に大きく影響を受けたようです。

 

また、マネやセザンヌルノワールといった印象派絵画のコレクターでもあったそう。

 

オダリスク」という作品では、布を多く用いるなど、その影響が細部に現れています。

 

マティスの作品は、どれもニースのアトリエで描かれたもの。

 

モネのジヴェルニーの庭のように、自分の空間を楽園にしたという点で共通しています。

 

産業革命などの、芸術家が生きづらい激動の時代を生きたモネとマティス

 

そこから逃れて、現実ではない理想郷を2人は求めたのではないでしょうか。

 

 

ルノワールとパリに恋した12人の画家たち

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横浜美術館で開催された、ルノワール展。

 

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オランジュリー美術館の休館に伴い、ルノワールマティスピカソといった豪華作品たちが、はるばる日本へやってきてくれました。

 

パリのオランジュリー美術館といえば、モネの大パノラマ睡蓮が有名ですよね。

 

ルーブル美術館オルセー美術館も近く、いつか行ってみたい夢の場所。

 

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ピエール・オーギュスト・ルノワールアネモネ

 

ピエール=オーギュスト・ルノワールは、印象派を代表するフランスの画家です。

 

柔らかで、ふわふわとした筆致が特徴的ですよね。

 

ルノワールの作品を目の前にしたら、誰もがうっとりすること間違いなし。

 

私は、ルノワールの描く花や静物が好きです。

 

ルノワール自身も、このような言葉を残しています。

 

「花を描いていると心が安らぐ。

モデルに向き合うときに求められる精神の集中は、花を前にしては不要である。

そして様々な色調を大胆に試みることができる。」

 

どんな天才画家でも、やっぱり人物を描くときは緊張するのでしょうか。

 

私たちの心を穏やかにしてくれる美しい花の絵画は、描く人をも安らかにさせるのですね。

 

そしてお土産に購入した図録↓↓

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なんといってもこのサイズ感が本当にありがたい。。。

 

図録って大体大きいので、このサイズがもっと普及してほしい。

 

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ちなみに、現在横浜美術館は大規模改修工事中。。。

 

2023年にオープン予定とのことで、少し寂しいですが楽しみに待ちましょう!

 

 

日本橋で贅沢な時間を無料で堪能。

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2015年から改装工事のため休館していたブリヂストン美術館

 

20201月にアーティゾン美術館として開館しました。

 

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なななななんと、学生無料。

 

田舎の学生は、東京日本橋へ来て入るお店もないのにこんなにも高級感のある施設に無料で入れてしまうなんて…

あと数ヶ月で学生生活が終了してしまうのが惜しい気持ち。。。

 

そして、スタッフの方々のご対応も丁寧で私はVIP客か?と錯覚しそうにもなりました(笑)

 

時間指定の予約制で、時間帯によって収容人数も制限されているため、混雑もなく

落ち着いて鑑賞できました。

 

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ルノワールピカソといった豪華な作品が勢揃い。。。

 

印象派絵画から現代アートまで、幅広く展示されていました。

 

アーティゾン美術館では、事前に公式アプリをダウンロードしておき、

絵画の解説を自分のスマホとイヤホンで聴けるという仕組み。

 

みなさん、美術館へ行った時は有料の解説を聞いていますか?

 

私は必ず聴きます。

 

解説を聴いて勉強になるのはもちろん、多少周りの音をシャットダウンできるからです。

美術館で意外と人の声って気になってしまいますよね(私だけでしょうか)

 

そして、絵画を見る視点もはるかに変わります。

 

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なんだか、外国の美術館ぽくないですか?(行った事ない)

 

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過去の展覧会のアーカイブも別フロアで展示されていました。

 

 

…ほぼアーティゾン美術館の宣伝みたいになってしまいましたが。今日はここまで。

 

日本一ミニマルな美術館

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「日本一ミニマル」は私の主観ですが、、、

 

とにかく白い、綺麗な静岡市美術館。

 

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いつも激混みな上野の美術館に比べたら、はるかに落ち着いて鑑賞できました。

時期にもよるのかな、、。

 

はじめての静岡市美術館で鑑賞したのは、バレエの絵画で有名なエドガー・ドガでした。

 

私の大好きな印象派画家の一人です。

 

 

ちなみに、どうして日本人は印象派が好きなのでしょうか。

 

それは、印象派に影響を与えたのが日本の浮世絵だからです。

 

だから私たちは印象派絵画を見て、本能的に懐かしさを覚えるのではないでしょうか。

 

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エドガー・ドガは、フランスの画家。

 

上流階級であったドガは、スポンサーとしてバレエ教室に通いつめバレリーナたちの絵を描きました。

 

当時のバレリーナは苦しい生活のため、パトロン(経済的支援者)を探すのに必死でした。  

 

娼婦のようなイメージでしょうか。

 

ドガの作品は、そうした社会問題を表現した絵ではあるものの、

 

やっぱりバレリーナの絵は純粋に美しいなと思います。